軽い原子核どうしが合体して、より重い原子核になり、莫大なエネルギーを放出する反応です。核融合のポイント:①軽い原子核どうしが合体する ②質量の一部がエネルギーに変わる ③太陽のエネルギー源でもある。このスライドの流れ:原理(核融合のしくみ)→太陽(太陽の中の核融合)→方式(人工的に起こす方法)→課題(実現に向けた壁)→未来(エネルギーの未来へ)
軽い原子核が高温で近づき、強い力で結合して、より重い原子核と中性子をつくり、エネルギーを放出します。代表的な核融合反応(D-T反応):D(重水素)+ T(三重水素)→ He(ヘリウム)+ n(中性子)+ エネルギー。①重水素と三重水素が近づく ②強い力で結びつく(原子核同士が非常に高温で近づき、核力で結合)③ヘリウムと中性子が生まれる ④エネルギーが放出される(質量の一部がエネルギーに変換)。核融合のポイント:燃料は軽い原子核、生成物はヘリウムと中性子、高温で反応しやすくなる(1億度以上の高温で原子核が十分に近づく)
核融合では、反応の前後で質量がわずかに減ります。その「消えた質量」がエネルギーに変わります。この「質量欠損(Δm)」がアインシュタインの有名な式 E = mc² によって、莫大なエネルギーに変換されます。E=エネルギー、m=質量欠損(kg)、c=光の速さ(約3×10⁸ m/s)。核融合のポイント:①少しの質量差が大きなエネルギーになる ②光速の2乗が効く(cが約3×10⁸m/sなので、小さなmでも莫大なEが生まれる)③核分裂と同様に質量とエネルギーの変換が核エネルギーの源
恒星は、巨大な重力・圧力・温度によって、核融合を自然に持続させることができます。太陽の内部構造:光球、対流層、放射層、核(中心部)。太陽の主な核融合反応:水素→ヘリウム(陽子4個→ヘリウム+エネルギー)。恒星が核融合を続けられる理由:①恒星の中部は超高温・高圧(中心温度は数千万度以上)②重力が燃料を押し込む(巨大な重力が水素を中心部に集め続ける)③重力とエネルギーのバランスが恒星の輝きを長期間維持する
核融合を持続的に起こすには、3つの条件を同時に満たすことが必要です。プラズマの高温状態(経験則):約1億度(10⁸ °C)。なぜ高温が必要なのか:原子核がお互いに電気的な反発力(クーロン力)を超えて近づくため。核融合を起こすための3条件:①超高温(原子核が近づき核融合しやすい温度、約1億度以上)②十分な密度(十分な数の原子の密度が必要)③充分な閉じ込め時間(プラズマを長時間閉じ込め、核融合が起きる確率を上げる)。ローソン条件(Lawson criterion):プラズマの密度・温度・時間の積が一定値以上になると核融合が持続できる
超高温プラズマを、強力な磁場で閉じ込めて核融合反応を起こす方式です。トカマク型閉じ込め(代表例):トロイダル磁場コイル(ドーナツ型の磁場を作る)、中心のソレノイドコイル、ポロイダル磁場コイル(磁場を安定させる役割)。磁場閉じ込めのポイント:①プラズマに触れずに閉じ込める(壁に触れると冷えてしまうプラズマを磁場でドーナツ状に閉じ込める)②代表例はトカマク型(現在の核融合研究の主力方式)③長時間運転に向く(安定した閉じ込めが可能で、将来の発電炉に適している)
強力なレーザーを燃料球に照射し、一瞬で圧縮・加熱して核融合反応を起こす方式です。①照射(強力なレーザーを燃料球の表面に照射)→②圧縮・加熱(表面が急速に加熱・蒸発し、反作用で内部が急に圧縮)→③核融合反応(中心部で極限まで絞られ、莫大なエネルギーを放出)。燃料球(固体ペレット):主に重水素と三重水素の混合の小さな球で直径2〜3mm。超高温・超高圧の状態に。短時間で大きなエネルギーを放出(反応は約1ナノ秒程度で完了)。慣性閉じ込め方式のポイント:①燃料球を圧縮する ②レーザーで瞬間的に超高温・高圧に ③短時間で反応を起こす
核融合は、燃料の入手性が高く、安全性に優れ、環境への影響を抑えやすいエネルギーです。燃料:燃料は重水素と三重水素(重水素は海水から豊富に得られ、三重水素はリチウムから合成可能)。安全性:暴走反応が起こりにくい(核融合は連鎖反応ではないため、事故で暴走することが起こりにくい)。環境・廃棄物:長寿命の高レベル廃棄物は比較的少ない(核分裂と比べて半減期の短い低レベルのものが多い)、CO₂排出が少ない。核融合のポイント:①燃料が豊富に存在する ②連鎖反応がなく、本質的な安全性がある ③CO₂排出が少ない
核融合をエネルギー源として実用化するには、複数の技術的ハードルを乗り越える必要があります。実用化へのロードマップ(主な課題):①プラズマ制御(高温プラズマを長期間安定して閉じ込めることが必要)②耐熱材料の開発(高温と強い熱負荷に耐えられる材料が必要)③中性子による材料損傷(中性子が材料を劣化させるため、長期耐久性のある材料の開発が必要)④トリチウムの確保と管理(燃料のトリチウムを増殖・確保・管理・回収する技術が必要)⑤実用的なコストでの正味エネルギーの実現。目指すゴール:実用可能な核融合炉の実現、正味エネルギー利得の達成
核融合の仕組みから未来の可能性までを整理し、持続可能なエネルギー社会の実現に向けて前進します。原理(軽い原子核が融合しエネルギーを放出)→条件(超高温・高圧のプラズマ状態で核融合が起こる)→方式(磁場でプラズマを閉じ込めて安定的に制御する)→課題(長時間運転・材料耐久性・コストなどの課題がある)→未来(技術の進展により、エネルギーの未来を切り拓く)。①核融合は高密度でクリーンなエネルギー候補 ②実用化には技術革新が必要 ③成功すれば長期的なエネルギーになりうる。核融合は、次世代のエネルギーとして人類の未来を明るく照らす希望です。