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突然変異のメカニズム
遺伝学・分子生物学

突然変異のメカニズム

編集部

突然変異とは、DNAの変化が修復をすり抜けて固定されることで成立する現象です。複製エラー・化学変化・放射線・化学物質など日常的な原因から生じ、塩基置換からフレームシフト・染色体変化まで多彩な種類があります。がんや遺伝病の原因となる一方で、生物の多様性と進化を駆動する生命の根本原理を10枚で解説します。

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01突然変異のメカニズム

02突然変異はどこで起こるのか

突然変異を理解するには、まずDNA・遺伝子・染色体という3つの層を把握することが大切です。DNAはA・T・G・Cの4種類の塩基が並んだ配列であり、遺伝子はタンパク質をつくるための情報をもつDNAの一部の領域です。そして染色体は、DNAがヒストンなどのタンパク質と結びついてコンパクトにまとめられたものです。突然変異は塩基1つの変化という小さなスケールから染色体全体の構造変化という大きなスケールまで、幅広い単位で起こります。

03DNA複製エラーによる突然変異

細胞がDNAを複製する際、DNAポリメラーゼが誤った塩基を取り込むことがあります。また同じ塩基が繰り返す配列では「スリッページ」と呼ばれるずれが起き、塩基の挿入や欠失が生じます。DNAポリメラーゼはプルーフリーディング(校正機能)で多くのエラーを取り除きますが、修正されずに次の複製に持ち越された誤りは変異として固定されます。DNA複製エラーは完全には防げないものの、校正機能や修復機構によって変異の多くは未然に防がれています。

04自然に起こる化学変化

外部からの強い刺激がなくても、体内でDNAは少しずつ傷つきます。シトシン(C)のアミノ基が外れてウラシル(U)になる「脱アミノ化」はC→T型の変異につながり、プリン塩基(AやG)が外れる「脱プリン化」では塩基のない部位が生じます。また活性酸素によってグアニン(G)が酸化される「酸化損傷」や、塩基が一時的に別の形に変化する「互変異性」も変異の原因となります。これらの自然突然変異は完全に防ぐことができず、修復機構とのバランスが重要です。

05外的要因によるDNA損傷

放射線や化学物質など、外部からの刺激もDNA損傷の大きな原因となります。紫外線はチミン二量体を形成してDNAを変化させ、X線・γ線はDNAの鎖を切断することがあります。また特定の化学物質(発がん物質)は塩基を変化させたり外来の配列をDNAに挿入したりし、ウイルスや転移因子もDNAに変化をもたらすことがあります。ただしDNA損傷はすぐに突然変異になるわけではなく、修復できなかった場合に初めて変異として残ります。

06DNA修復と「変異の固定」

DNAが損傷したり複製ミスが起きたりすると、細胞内の修復システムが働きます。代表的な修復機構として、DNAポリメラーゼによる校正機能(プルーフリーディング)、複製後のミスマッチを修復するMMR、化学変化で生じた異常塩基を除去するBER、紫外線損傷を取り除くNERなどがあります。修復が成功すれば元の配列に戻りますが、失敗したまま複製が進むと変化が両鎖にコピーされ「固定」されます。突然変異の多くは損傷そのものではなく「修復失敗+複製」によって成立します。

07突然変異の種類

突然変異は変化の規模によって大きく二つに分かれます。遺伝子レベルの小さな変異には、1つの塩基が別の塩基に置き換わる「塩基置換」、塩基が余分に入る「挿入」、塩基が失われる「欠失」、挿入や欠失で読み枠がずれる「フレームシフト」があります。染色体レベルの大きな変異には、領域が重複する「重複」、逆向きになる「逆位」、別の染色体と入れ替わる「転座」、染色体の数が変わる「数の異常」があります。変異のスケールによって影響が遺伝子1個にとどまる場合も、多数の遺伝子に及ぶ場合もあります。

08突然変異は何を変えるのか

DNAの塩基配列が変わると、転写されるmRNAの情報が変わり、作られるタンパク質のアミノ酸配列や立体構造が変化します。変異の種類によって影響は異なり、アミノ酸が変わらない「サイレント変異」、アミノ酸が変わるためタンパク質の機能が変わりうる「ミスセンス変異」、終止シグナルが早く現れてタンパク質が短くなる「ナンセンス変異」があります。また遺伝子の発現量やタイミングが変わる発現調節への影響もあり、酵素活性の低下・病気の発症・色や体質の違いなど様々な結果をもたらします。

09突然変異の影響:有害・中立・有利

突然変異は必ずしも有害ではなく、有害・中立・有利の三つに分けられます。有害な変異はがん関連の変異や遺伝性疾患の原因となり、重要なタンパク質の機能喪失を招くことがあります。一方で多くの変異は中立的で、見た目や健康にほとんど影響しません。そして環境によっては特定の変異が生存や繁殖に有利に働き、薬物や外部環境への耐性獲得や進化の原動力となります。個体に不利な変異でも集団に多様性をもたらし、環境が変わると有利・不利も変わるという視点が重要です。

10まとめ

今回は突然変異のメカニズムについてお伝えしました。突然変異は「DNAの変化が修復をすり抜けて固定されること」で成立し、複製ミス・自然な化学変化・放射線・化学物質など日常的な原因から生じます。塩基置換・挿入・欠失・染色体変化などの種類があり、タンパク質を介して形質や機能に影響を与えます。病気の原因となるリスクを持つ一方で、生物の多様性を生み出し進化の原動力にもなる、生命の根本に関わる現象です。

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