
中級3
生命科学 / 現代
分子生物学とDNA
編集部
DNAの情報は、転写→翻訳というプロセスを経てタンパク質になり、体の機能を支えています。遺伝子のON/OFFの切り替えから塩基配列の変異まで、分子生物学のセントラルドグマを10枚でわかりやすく解説します。このスライドでは、遺伝子・DNA・染色体の関係・DNAは4つの文字でできている・遺伝子は必要なときに読み出される・ステップ1転写などを解説していきます。
「遺伝子」はDNAの一部分で、DNAは染色体として細胞核に収納されています。細胞→核→染色体→DNA→遺伝子という階層構造をなしており、細胞は体をつくる基本単位、DNAは情報を記録する長い分子、遺伝子はある働きを決めるDNAの区間です。ヒトは約2万個の遺伝子をもつと考えられています。
DNAの情報はA(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)という4種類の塩基の並び方で表されます。結びつきのルールとしてAはTと、GはCと結びつきます。文字の並びが文章になるように、塩基の並びが遺伝情報になります。
すべての遺伝子がいつも働くわけではなく、必要な場面で特定の遺伝子だけが使われます。必要ない遺伝子は読み飛ばされて働きを止め(OFF)、必要な遺伝子だけが読み出されて働きます(ON)。筋肉の細胞では筋肉に関係する遺伝子がON、神経の細胞では神経に関係する遺伝子がONというように、同じDNAでも細胞ごとに違う遺伝子が働きます。
必要な遺伝子の情報がDNAからメッセンジャーRNA(mRNA)に写し取られます。まずDNAの一部がほどけ、酵素(RNAポリメラーゼ)が塩基配列を読み取ってmRNAがつくられます。mRNAは情報を運ぶメッセージであり、転写は主に細胞核の中で起こります。
mRNAの情報をもとにアミノ酸がつながり、タンパク質がつくられます。リボソームがmRNAに結合し3つずつの塩基(コドン)を順に読み取り、対応するアミノ酸がtRNAによって運ばれてリボソームに結合します。こうしてつながったアミノ酸の鎖が立体的に折りたたまれてタンパク質になります。翻訳は主に細胞質で行われます。
遺伝子の情報からできたタンパク質は体の中でさまざまな役割を果たします。酵素として化学反応を助け、筋肉として体を動かし、ホルモンとして情報を伝え、抗体として病原体から守ります。遺伝子→タンパク質→体の機能という流れで体のしくみが成り立っています。
体は必要に応じて遺伝子をON/OFFし、いつ・どこで・どれだけ働くかを調節しています。調節の主な要因として、細胞の種類(組織ごとに必要な遺伝子が違う)、発生や成長の段階、ホルモンなどの化学的シグナル、環境(外部刺激)があります。皮膚と肝臓で働く遺伝子が違うように、この調節を「遺伝子発現の制御」といいます。
DNAの配列が少し変わることを変異といい、個性の違いや病気の原因につながることがあります。変異の影響としては、髪や目の特徴・体質といった個性の違い、環境への適応に影響する有利・不利な変化、そして一部の変異が病気の原因になることがあります。変異の多くは小さな変化で、すぐに問題となるとは限りません。
今回は遺伝子はどう働くのかについてお伝えしました。遺伝子はDNAの一部で、必要な遺伝子だけが読み出され、転写と翻訳を通じてタンパク質がつくられます。遺伝子の違いや調節が個性を生み出しています。遺伝子は「運命を固定するもの」ではなく、環境や調節と組み合わさって体の働きを支えているのです。