
初級15
生態学 / 現代
生態系と生物多様性
編集部
共通祖先から無数の生物が生まれた理由を進化のしくみから考えます。生物の多様化とは1つの祖先から複数の種へ枝分かれしていくことであり、適応変異・自然選択・環境の違い・隔離・共進化などが要因です。このスライドでは遺伝的変異・自然選択・環境の多様性・地理的隔離・共進化と適応放散という5つの視点を解説します。多様化は生命の歴史そのものです。
進化は1本の直線ではなく枝分かれの歴史です。共通祖先とは、今いる複数の生物がさかのぼると共有していた祖先(約38億年前)のことです。枝分かれは集団に違いが生まれ、環境や生活の違いが広がり、交配しにくくなって別の種へ分かれるという流れで起こります。系統樹は生物どうしの親戚関係を表す図であり、すべての生物はどこかでつながっています。
多様化の材料になるのは遺伝的変異です。すべての生物の設計図はDNAであり、突然変異によってDNAで偶然に新しい特質が生まれます。また組み換えによって親の遺伝子の組み合わせで多様な子が生まれ、小さな集団では遺伝子漂流によって偶然で特徴が分かれることもあります。変異そのものに目的はありませんが、違いがあるから進化が起こります。多様化の第一歩は同じ集団の中に違いが生まれることです。
環境に合う特徴を持つ個体ほど生き残りやすくなっています。変異があり、環境に変化があり、有利な個体が多く生存・繁殖して子を残すことで、集団の特徴が変わっていきます。自然選択とは生存や繁殖に有利な特徴が世代を超えて増えていくことです。同じ地域でも食べ物・天気・気候が違えば選ばれる特徴も変わり、選択が異なれば進化の方向も分かれていきます。
多様な生息地が多様な生き方を生んでいます。ニッチ(生態的地位)とは生物がどこで何を食べどう生きるかという役割や居場所のことです。森林ではリス・キツツキ、海洋ではマグロ・イカ、砂漠ではラクダ・フェネックというように、それぞれ異なる適応を持っています。食べ物の違い・気温と水分の違い・天敵の違い・すみかの違いが進化の方向を変え、同じ祖先でも別々の環境に進出すると別々の進化が起こります。
地理的隔離は種分化を進める大きな要因です。もとの集団が隔離で分断されると交流が減り、互いの環境で違いが広がり、違いが蓄積して別種になっていきます。地理的隔離とは集団の移動や交配が阻まれることであり、島・山脈・湖・河川などがよくある障壁の例です。ガラパゴス諸島のフィンチは隔離と環境の違いで多様化した代表例であり、会わなくなることが進化の分かれ道になります。
共進化・競争・捕食が新しい適応を引き出します。共進化では相手に合わせて互いに進化し(例:花の蜜を吸う者の口の長さが互いに変化)、競争では同じ資源をめぐって役割分担が進みます。捕食・被食では攻撃と防御のいたちごっこが起こり、すばやく逃げる足や強くなる甲羅などの特徴が分かれます。生き物は環境だけでなく他の生物にも適応しており、関係が複雑になるほど生き方の種類も増えていきます。
適応放散とは、1つの祖先から異なる環境や役割に適応して多くの種へ広がることです。大きな変化・絶滅が起こると空いたニッチが増え、新しい種が急速に増えます。恐竜絶滅後の哺乳類の広がりがその代表例で、中生代末の大量絶滅後に哺乳類はさまざまな体の大きさや生活形式に進化しました。またガラパゴス諸島のダーウィンフィンチも、食べ物や生活場所の違いに適応してくちばしがさまざまに分かれました。空き席が生まれると多様化は加速しやすいです。
進化は必然だけでなく偶然にも左右されます。進化は何百万年もの積み重ねで起こり、小さな集団では遺伝的浮動によって偶然で特徴が分かれることがあります。たまたま移動した少数個体が新集団の遺伝的基点になる創始者効果も起こります。また気候や天敵などの予測できない変化が進化の方向を変えることもあります。同じ出発点でもたどる道は1つではなく、多様化は法則だけではなく歴史の偶然にも形づくられます。
今回は、なぜ生物は多様化したのかについてお伝えしました。生命の多様性は変異・選択・環境・隔離・相互作用の結果です。遺伝的変異で個体の設計書に差が生まれ、自然選択で環境に適した個体が子孫を残します。環境の多様性がさまざまな適応を可能にし、地理的隔離が種の分化を促します。さらに共進化・適応放散が多様化を加速します。生物は生まれ、選ばれ、分かれ、関わり合う中で多様化してきました。