
初級5
進化・生物学
自然選択の仕組み
編集部
進化とは、生物の集団が世代を超えて変化していくことです。自然選択はその重要なメカニズムです。このスライドでは、進化の意味・自然選択の仕組み・適応と具体例・進化の証拠・よくある誤解の5つを学びます。先取りして伝えると、進化は「個体の努力」ではなく、世代を通じた遺伝的変化の蓄積であり、自然選択はその変化を方向づける重要な仕組みです。
進化とは、「個体が変わる」のではなく「集団の性質が世代を通じて変わる」ことです。一個体はその一生の間に進化しません。進化を考えるうえで3つの視点があります。まず、個体間に形質の差があること(変異)。次に、その差が親から子に伝わること(遺伝)。そして、遺伝性の変異を持つ個体が次の世代でより多くの子孫を持つこと(次世代での割合の変化)です。まとめると、進化とは「世代交代を通じて集団の遺伝的特徴の割合が変わること」です。
チャールズ・ダーウィンは世界各地での観察をもとに、生物の種は時代とともに変化し、共通の祖先から枝分かれしてきたと考えました。アルフレッド・ラッセル・ウォレスも独立に同じ考えにたどり着いています。押さえたいポイントは3つです。生物は固定不変ではないこと、種は分岐して多様化すること、そして種は共通祖先を共有することです。ダーウィンの核心は「環境に適した遺伝的性質が世代を通じて広まる」という説明にあります。
自然選択は、変異・遺伝・生存と繁殖の差・環境という4つの条件によって起こります。まず、個体間にいくつかの性質の違いがあります(変異)。その性質の違いはある程度親から子に伝えられます(遺伝)。個体によって生き残りやすさや繁殖のしやすさに差があります(生存・繁殖の差)。そして、ある環境ではある性質が生存・繁殖に有利になります(環境による選択)。例えばカムフラージュでは、捕食者に見つかりにくい色の個体が多く生き残るため、世代が進むにつれてその色が集団内で増えていきます。
ガラパゴス諸島に生息するフィンチは、共通の祖先から分かれた鳥です。島ごとに利用できる食べ物が異なるため、その環境で有利なくちばしの形質を持つ個体が選択されるようになりました。太い強いくちばしは種子を割るのに有利で、細長いくちばしは昆虫をとるのに有利です。また細くしなやかなくちばしはサボテンや花の資源に有利です。自然選択は「その環境で役立つ形質」を持つ個体が多く子孫を残すことで進んでいきます。
適応とは、ある環境の中で生物が生き残りやすく子孫を残しやすくなる性質のことです。ただし完全なものではなく、あくまでもトレードオフがあります。例えば、シロクマの白い体と断熱は雪と寒冷地に有利であり、砂漠動物のとげや水分保存は乾燥環境に有利です。また枯れ葉や岩に似た保護色は捕食回避に有利です。環境が変われば有利・不利が変わり、多くの場合コストも伴います。適応とは「その時その場所の環境で相対的に有利な形質」なのです。
進化論は一つの観察だけでなく、多方面の証拠が一致して支えられています。まず化石記録では、時代ごとに異なる生物が見つかり変化の系列が確認されています。比較解剖では、コウモリとクジラと人の骨が同じ構造(相同器官)を持つことが明らかになっています。DNAや分子では、近縁な生物ほど遺伝子の類似度が高いことが分かっています。さらに生物地理では、地域によって似た生態の独特な生き物が分布しています。これらの多方面の証拠が一致することで、進化論の信頼性が高まっています。
種分化とは、一つの集団が分かれ、長い時間の中で別々の種になることです。一つの集団が地理的・生態的に分断されると、それぞれの集団に異なる自然選択が働き、遺伝的に別々の種へと進化していきます。流れとしては、集団の分割→遺伝的相違→生殖的隔離→異なる種への分化となります。共通祖先とは、異なる種でも、かつては同じ集団だったことを意味します(進化の木のイメージです)。島の地理的隔離・山岳・川の流れなどが分断・隔離の例として挙げられます。進化は直線ではなく、枝分かれしながら多様化していきます。
進化についてはいくつかの誤解が広まっています。まず「進化は個体の努力で起こる」という誤解ですが、進化は形質の変化が世代を通じて集団に広がるときに起こります。「適者は強いものだ」という誤解もあります。「適者」とはその環境でより多くの子孫を残しやすいということです。「人間は現代のサルから進化した」も誤りで、人間と他の霊長類は共通の祖先から分かれたのです。また「進化にはゴールや完成形がある」という誤解もありますが、進化は目的に向かったゴールはなく、変化と環境によって形づくられます。自然選択は「より多くの子孫を残しやすい変異を広げる」という統計的なプロセスです。
今回は進化論と自然選択についてお伝えしました。多様な生物は、共通祖先から世代を通じて変化し、枝分かれしてきました。押さえるべきポイントは、進化は集団の変化であること、変異は自然に生じること、自然選択は環境に適した形質を増やすこと、適応は環境依存であること、そして証拠は多方面から一致しているということです。「進化」とは「世代を超えた変化の蓄積」であり、「自然選択」は「その変化を方向づけるしくみ」です。進化論は生物の多様性を「共通祖先・変異・選択・時間」で説明する、現代生命科学の中心的な考え方です。