
中級2
現代宇宙論
ダークマター・ダークエネルギー
編集部
宇宙論は約138億年前のビッグバンから現在の宇宙に至るまでの歴史と構造を研究する自然科学の分野です。ハッブルの観測による宇宙膨張の発見を経て、粒子形成・星や銀河の誕生の過程が解明されてきました。このスライドでは、宇宙の始まり・膨張の仕組み・宇宙の歴史をわかりやすく解説します。
現在もっとも有力なモデルによれば、宇宙は非常に高温・高密度の状態から始まりました。その後、急膨張と冷却が進み、基本粒子が形成され、やがて水素やヘリウムの原子が生まれました。さらに重力によって物質が集まり、星と銀河が形成されていきました。宇宙の始まりを理解する鍵は、高温・高密度から膨張と冷却へ進む流れです。
観測によって、遠く離れた銀河ほど速く遠ざかっていることがわかっています。これは宇宙そのもの(空間)が広がっていると理解されています。光の赤方偏移とは光の波長が伸びて赤っぽく見える現象で、遠い銀河ほど遠ざかる速度が大きいことを示しています。ハッブルの観測がこの宇宙膨張の基礎を示し、空間の膨張によって距離が伸び光の波長が伸びることで赤方偏移が生じます。
宇宙論はビッグバン直後のごく初期から現在に至るまでの長い歴史を研究します。極超高温・高密度の始まり(ビッグバン)から、数秒後の素粒子や陽子・中性子の形成、約38万年後の原子の形成(宇宙が透明になる)、数億年後の最初の星の誕生、数十億年後の銀河・銀河団の形成を経て、約138億年後の現在の宇宙に至ります。宇宙の歴史は、膨張と冷却、そして重力による構造形成の歴史でもあります。
現代の宇宙論では、私たちが見ている物質は宇宙全体の一部にすぎません。普通の物質は約5%を占めるに過ぎず、光を発しないが重力的な存在が推定されるダークマターが約27%、宇宙の膨張を加速させると考えられるダークエネルギーが約68%を占めています。ダークエネルギーの正体はまだわかっていません。宇宙を理解するには、見える物質だけでなく見えない成分を考える必要があります。
宇宙にある物質は完全に均一に分布しているわけではなく、重力のはたらきによって段階的にまとまりができています。光を放つ星が集まって銀河となり、多くの銀河が重力で集まって銀河団を形成し、最大スケールでは銀河や銀河団がフィラメント状に連なった「宇宙の大規模構造(コスミックウェブ)」を形成しています。宇宙の大構造は、重力が長い時間をかけて作った巨大なパターンです。
重力によって宇宙に漂うガスが収縮し、中心で核融合が始まると星として光り輝きます。多くの星が集まることで銀河へと成長し、銀河同士が衝突・合体しながら進化して現在の姿になります。銀河の主な形態としては渦巻銀河(天の川など)・楕円銀河・不規則銀河があります。星と銀河の誕生は、重力が物質を集めて光る天体へと育てる過程です。
宇宙論はさまざまな手段を使って宇宙を調べる観測科学でもあります。望遠鏡で光を集めて遠くを深く観測し、分光によって光をスペクトルに分解して元素・速度・温度・赤方偏移を測定します。宇宙背景放射はビッグバンの名残とされる電磁波で、マイクロ波として観測される初期宇宙の手がかりです。こうした観測データを分析して理論モデルを構築・検証することで、宇宙論は進歩してきました。
宇宙論では、宇宙の「形」とこれからの進化も研究されています。現在の観測からは宇宙はほぼ平坦であることが有力とされています。将来については、膨張が続いてやがて寒冷化するシナリオ・反転して大収縮するシナリオ・ダークエネルギーにより物質がバラバラになる「ビッグリップ」など複数の可能性があります。宇宙の未来を考えることは、膨張と宇宙全体の性質を考えることです。
今回は宇宙論についてお伝えしました。宇宙論は理論と観測を組み合わせて宇宙の起源・膨張・構造、そして未来を明らかにしようとする学問です。高温・高密度から始まった宇宙は今も広がり続け、見える物質は一部にすぎずダークマターとダークエネルギーが大部分を占めています。宇宙の網目構造(コスミックウェブ)を形成し、望遠鏡による観測がモデルを支えています。宇宙論を学ぶことは、私たちの宇宙観を広げ自然を大局的に理解する力につながります。