
初級2
化学・自然科学
水が特別な物質である理由
編集部
雪の結晶が六角形をしているのは、水分子の形と水素結合がつくる氷の内部構造に秘密があります。分子レベルの仕組みから温度・湿度による形の多様性まで、雪の美しさを科学で読み解いていきます。このスライドでは、雪の結晶は雲の中で生まれる・水分子はどんな形をしている?・氷の中では六角形につながる・6方向に伸びるから六角対称になるなど、10枚のスライドでわかりやすく解説していきます。
まずは雪の結晶ができる場所を見てみましょう。上空では気温が低く、水蒸気が冷やされていきます。その後、ちりや火山灰などの粒(凝結核)を中心に水滴が凍って氷の粒ができます。氷の結晶は成長を続け、重くなると地上へ落下します。水蒸気→凝結核→氷晶→雪という流れで、雪の結晶は雲の中で生まれます。
六角形の秘密は、水そのものの形にあります。水分子(H₂O)はH-O-Hが約104.5°の折れ曲がった形をしており、まっすぐではありません。また電気のかたよりがあり引き合いやすい(極性分子)という性質があります。この性質が水素結合を生み、水分子同士が規則正しく引き合います。
凍ると、水分子は規則正しく並びはじめます。水素結合で分子どうしが結びつき、いちばん安定しやすい並びが六角形の網目となります。この並びが雪の結晶の土台になります。液体の水では分子がばらばらに動いていますが、氷の中では六角形に規則的に並びます。
結晶は、同じ条件の6本の方向へ成長しやすい性質があります。六角対称とは中心から等しい条件で6方向に広がる対称性のことです。中心から6つの向きが生まれ、各方向で氷が少しずつ積み重なることで、六角形や六本腕の形が現れます。
六角形の基本は同じでも、見た目はいろいろです。薄く平らなプレート状の板状、縦に長く伸びる柱状、枝分かれが多い華やかな樹枝状、細く長く伸びる針状などがあります。気温が低いほど結晶の伸びる方向が変わり、湿度(水蒸気)が高いほど枝分かれが増えて複雑な形になります。温度と湿度の組み合わせによってさまざまな美しい形が生まれます。
落ちてくる途中の環境の変化が、一つひとつの模様を描き分けます。上空から地上へ落下する間、異なる気温や湿度の空気の層をいくつも通ります。通る空気の層ごとに成長条件が変わり、少しの差が枝の伸び方を変えるため、同じ結晶はほとんどできません。六角形というルールは共通ですが、成長環境の違いが多様な模様を生み出しています。
分子の並び方が6を基本にしているため、雪の結晶は六角形になります。安定する六角形格子では分子がムリなく並び、最もエネルギーが低くて安定です。五角形・七角形では角がきつすぎたりすき間ができたりして分子がきれいに並びにくく、例外的にゆがんだ形はあっても基本の対称は6となります。見た目が少し乱れても、内部の結晶格子のルールは六角対称です。
顕微鏡で雪の結晶を拡大すると、小さな結晶の中に規則と美しさが共存しているのがわかります。中心にも六角形の名残があり、外側は条件によって複雑に変わります。中心核・六方向の枝・細かな枝分かれという構造を細部まで見ても、基本の六角対称性は保たれています。
今回は雪の結晶がなぜ六角形なのかについてお伝えしました。水分子の折れ曲がった形が水素結合を生み、凍ると六角形の格子として最も安定した並びをつくります。この六角形の格子を土台に、温度と湿度の組み合わせによってさまざまな美しい模様が生まれます。雪の結晶の六角形は、水の性質が分子レベルでつくり出した自然の造形美です。