
中級1
化学・物質科学
化学結合
編集部
なぜ原子は結びついて分子をつくるのでしょうか。共有結合・イオン結合・金属結合の3種類を中心に、電子のふるまいが物質の性質をどう決めるかをやさしく解説します。このスライドでは、原子はなぜ結びつくのか・結合の主役は電子・共有結合:電子を分け合う・イオン結合:電子を渡して引き合うなど、10枚のスライドでわかりやすく解説していきます。
原子が結びつくのは、安定な電子配置になりエネルギーを下げて落ち着くためです。原子は単独だと不安定なことがあり、最外殻電子が安定すると落ち着きます。結合すると全体のエネルギーが下がります。最外殻電子とは原子の一番外側の電子で、この数や並び方が安定かどうかを決めます。最外殻電子が満たされた(例:8個)安定配置になると、原子は最も低いエネルギー状態に落ち着きます。
結合は、主に最外殻電子のふるまいによって決まります。結合のしくみは大きく3つのタイプに分けられます。まず電子をおたがいに出し合い共有して結合する「共有」があります。次に電子を一方が譲り他方が受け取りイオンとして結合する「受け渡し」があります。また電子が特定の原子に属さず全体に広がって動く「自由に動く」タイプもあります。特に最外殻電子が重要で、電子の動き方で結合の種類が変わります。
共有結合は、非金属どうしが電子を共有して結びつく結合です。原子どうしが電子を共有し、分子としてまとまりやすくなります。水や有機物の多くで見られます。2つの原子が一緒に使う電子のペアを共有電子対といいます。代表的な例として水素分子(H2)・水(H2O、曲がった形)・メタン(CH4、正四面体形)があります。共有結合は「向き」をもつことが多く、分子の形や性質を決めます。
イオン結合では、金属原子が電子を失い陽イオンに、非金属原子が電子を受け取り陰イオンになり、その静電気的な引力で結合します。例えばナトリウム原子と塩素原子が結びつくと、Na+(ナトリウムイオン)とCl-(塩化物イオン)になり、塩化ナトリウムの結晶ができます。イオン結合でできた物質は結晶になりやすく、水に溶けやすく、水溶液や融解状態で電気を通す電解質になります。
金属結合では、電子が金属イオンのまわりを自由に動き回ることで結びついています。金属原子は電子をゆるく持ち、電子が全体に広がって結びつく「自由電子の海」がつくられます。自由電子が電流を運ぶため電気を通しやすく、熱エネルギーも運ぶため熱を伝えやすいです。またイオンの層がすべり合い形を変えられるためのびる・たたくことができ、自由電子が光を反射するため金属光沢も生まれます。
分子ができた後でも、分子どうしが引き合う力がはたらきます。この力が沸点・融点や液体・固体のなりやすさに関係します。水素をもつ分子どうしでは強めの引き合いである水素結合がはたらき(例:水H2O)、極性分子の+側と-側が双極子引力で引き合います(例:HCl分子どうし)。また一時的な偏りで生じる弱い引き合いであるファンデルワールス力もあります(例:希ガスどうし)。結合そのものより弱いですが、状態や性質に大きく影響します。
分子の形と電荷のかたよりが、溶けやすさやふるまいに影響します。水(H2O)は折れ線形で極性があり、酸素側がδ-、水素側がδ+にかたより分子全体で極性をもちます。二酸化炭素(CO2)は直線形で全体として無極性です(両側の酸素のマイナスが打ち消し合い電荷のかたよりがありません)。極性のある水と非極性の油は混ざらず、似たものどうしは混ざりやすい性質があります。
結合の種類が物質の性質や使い道を決めています。水(共有結合+水素結合)は沸点が高く液体のままでいやすいです。食塩(イオン結合・結晶構造)はNaClが結晶で固く、水によく溶け電解質になります。金属(金属結合・自由電子)は電気をよく通し、たたくと伸びます。プラスチック(共有結合の長い鎖・高分子)は軽くて丈夫で、電気を通しにくく様々な形に加工しやすいです。結合の種類を知ると、身のまわりの物質がもっと面白くなります。
今回は、分子がどうやって結びつくのかについてお伝えしました。原子は安定になるために結びつき、電子のやりとり・共有が3つの結合を生みます。共有結合は電子を共有して安定した分子をつくり、イオン結合はイオンどうしが電気的に引き合い、金属結合は自由電子の海が金属特有の性質を生み出します。結合の違いが物質の性質を生み出しており、見えない電子の世界が身の回りの物質を形づくっています。