
初級14
環境経営・エネルギー政策
脱炭素とGX
編集部
木材・農業残さ・食品廃棄物・家畜ふん尿などの生物由来資源を燃料にして電気をつくるバイオマス発電。燃焼・ガス化・メタン発酵の各方式から、コージェネレーションによる熱利用まで、発電の全プロセスを図解で解説します。カーボンニュートラルの概念と地域資源活用の両面から、再生可能エネルギーとしての可能性と課題を理解できます。
バイオマス発電は、木材や農作物の残さ、食品廃棄物、家畜のふん尿などの生物由来の資源(バイオマス)を利用して電気をつくる発電方法です。生物資源を集めて燃料化し、燃料を燃やした熱で蒸気をつくりタービンを回して電気を届けるという流れで成り立ちます。再生可能な生物資源を利用するため持続可能なエネルギーであり、廃棄物や未利用資源を活用でき地域の課題解決にもつながります。天候に左右されにくく安定した電力供給が可能なことも特徴です。
バイオマス発電に使える主な原料は5種類あります。木質バイオマスは間伐材や林地残材・製材くず・樹皮などを加工したもの、農業残さは稲わら・麦わら・もみ殻などの農作物の残さです。食品廃棄物は食品製造・流通・販売過程で排出される残さや廃棄物、家畜ふん尿は牛・豚・鶏などのふん尿から発酵・乾燥したもの、下水汚泥は下水処理の過程で発生する汚泥を処理したものです。これらは自然の中で繰り返し生み出される「再生可能な有機資源」です。
バイオマスは森林・農地・工場・家庭などで発生し、収集→分別→運搬→発電施設へと流れます。発生場所からバイオマスを収集し、種類や異物を分別して品質を確保します。その後、効率的なルートで安全に運搬して発電施設で受け入れ燃料として利用します。安定した収集・運搬体制は発電設備の効率的な運転に不可欠で、コストの最適化と燃料の品質維持が重要です。
回収したバイオマスは、発電に適した状態にするために前処理を行います。まず乾燥で水分を減らして燃焼効率を向上させ、次に破砕で大きな原料を小さく砕きます。均一なチップにして取り扱いやすくするチップ化を行い、圧縮して固形燃料(ペレット)にするペレット化も行います。前処理を行うことで燃料の品質が安定し、発電設備の効率的な運転につながります。
燃料のエネルギーを蒸気の力と機械の回転を通して電気に変えます。まずボイラーで木質チップなどを燃焼させて水を加熱し、加熱された水が沸騰して高温・高圧の蒸気になります。蒸気の力でタービンの羽根が回転し、タービンの回転で発電機を駆動して電気を生成します。燃焼時に出るCO₂は原料となる植物が成長過程で吸収したCO₂と同じと考えられ(カーボンニュートラル)、大気中のCO₂を増やしません。
直接燃焼以外の方法として、ガスをつくって発電する方式があります。ガス化(熱分解ガス化)はバイオマスをガス化炉で高温・酸素制御によりガス化し、可燃性ガスを生成してエンジン/タービンで発電する方式で、高効率で安定した発電が可能です。メタン発酵(嫌気性消化)は生ごみ・食品残さ・家畜ふん尿などをメタン発酵槽で分解・発酵させてバイオガスを生成し発電する方式で、副産物が肥料として利用でき廃棄物処理とエネルギー回収を両立します。
蒸気やガスの力でタービンが回り、タービンとつながった発電機の回転子(コイル)が高速で回転します。コイルが磁石(固定子)の中で回ることで電磁誘導が起こり電気がつくられます。この一連の流れで蒸気やガスのエネルギーが「電気エネルギー」に変換されます。
発電時に生じる熱を工場・温室・地域暖房などに利用できる仕組みがコージェネレーション(熱電併給)です。バイオマス発電所で電気をつくると同時に排熱が生じ、その熱を工場での熱利用・温室での暖房利用・地域暖房・給湯などに活用します。電気と熱の両方を使うことでエネルギー利用効率を大幅に向上させ、これまで捨てられていた排熱を有効利用することでエネルギーの地産地消に貢献します。
バイオマス発電は環境・地域・エネルギーの面で多くのメリットがあります。まず木くずや廃材・食品残さなどをエネルギーとして活用し廃棄物処理の負担を軽減します。次に地域で発生する資源を活用することで地域経済の活性化や雇用の創出につながります。またカーボンニュートラルの考え方により燃焼時のCO₂は全体としてゼロとみなされます。さらに天候に左右されにくく貯蔵・運搬も可能なため安定的にエネルギーを供給できます。
今回はバイオマス発電の仕組みについてお伝えしました。資源の発生→収集→前処理→発電→電気・熱利用という流れが全体の流れです。主な課題として、持続可能な燃料の安定確保、収集・前処理コストの低減、安定稼働のための設備管理、大気・水質への影響や資源の持続性への環境配慮が求められます。地域資源を活かす再生可能エネルギーとして、循環型社会の実現と持続可能な地域づくりに貢献できます。