
初級3
再生可能エネルギー
潮汐力発電の仕組み
編集部
海中に設置したタービンで潮の流れを直接受け止め、電気に変える「潮流発電」です。設備の構成から着床式・浮体式の設置方式、1日の発電パターンまで、10枚でわかりやすく解説します。
月や太陽の引力で海面が動き、海峡などで強い流れになります。まず月と太陽の引力で海水が周期的に動き、満ち潮・引き潮で海の流れが生まれます。海峡や狭い水路では流れが速くなる特性があります。潮流発電はこの規則的な海水の動きを動力源として利用します。
海中から陸上まで、発電に必要な要素があります。まずタービン(潮流を受けて回転する羽根)と発電機(回転を電気に変える)、支持構造物(機器を海底で支える)、海底ケーブル(電気を陸上へ送る)、陸上設備(変電・制御を行う)で構成されます。これらが一体となって海の流れを電力に変えます。
潮流の運動エネルギーが電気になるまでを4ステップで整理します。まず海の流れが発電設備のある場所を流れ、潮流の力でタービンが回転して回転エネルギーに変わります。次にタービンの回転を発電機が受け取り電気エネルギーをつくります。電気は海底ケーブルを通り陸上へ送られます。水流→回転力→電気エネルギーの順に変換されます。
海の条件に応じて、着床式と浮体式の2方式が使われます。着床式は海底に基礎を設けて固定する方式で、浅〜中程度の水深に適しておりアクセスしやすく点検・整備がしやすい特徴があります。浮体式は浮体や係留設備で海上・海中に設置する方式で、深い海域にも対応しやすく工期を短縮しやすいですが、アクセスに船舶が必要で気象の影響を受けやすい面があります。
強く安定した流れがある海域が発電に適しています。発電に向いた4条件として、潮流が速い海峡や瀬戸、水深が十分にある海域、海底地盤が安定している場所、送電しやすい陸地に近い場所が挙げられます。地形と潮流条件が発電の効率を大きく左右します。
海の流れを活用する再生可能エネルギーならではの強みがあります。潮の満ち引きは天体の影響で規則的に起こるため発電量を予測しやすく計画的な運用が可能です。海水の密度は空気の約800倍でエネルギー密度が高く、高い発電効率が期待できます。また運転時にCO₂をほとんど出さず、設備の多くは海中に設置されるため景観への影響が比較的小さいことも利点です。
実用化にはコスト・保守・海洋環境への配慮が重要です。発電設備やケーブル設置など初期投資が大きくコスト低減が課題で、強い潮流や塩分の影響で装置が摩耗しやすく海中での保守点検が難しいという問題があります。またフジツボ等の付着対策や腐食対策が求められ、海洋生物への影響を最小化する共存の仕組みも必要です。技術開発と実証が普及のカギとなっています。
満ち潮と引き潮の周期に合わせて発電します。潮の向きは時間で変わりますが、満ち潮でも引き潮でも発電できます。流れが強い時間ほど発電しやすく、潮止まりでは出力が下がります。朝の満ち潮で発電→昼の潮止まりで出力低下→夕方の引き潮で再び発電→夜の潮止まりで出力低下というサイクルを1日繰り返します。
今回は潮流発電の仕組みについてお伝えしました。潮の流れが生まれてタービンが回り、発電機で電気をつくって海底ケーブルで送り、陸上で利用するという流れです。発電量を予測しやすい再生可能エネルギーの一つですが、コストや保守などの技術課題もあります。今後の海洋エネルギー活用として大きな期待がかかっています。