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論理哲学論考 概要
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分析哲学・言語の限界

論理哲学論考

『論理哲学論考』は、言語と世界の関係を厳密に分析し、哲学の問題の多くが言語の誤用から生じると喝破した20世紀最大の哲学書の一つ。「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」という結語が示すように、論理の限界を鮮やかに描き出す。ウィーン学団から分析哲学全体に絶大な影響を与えた。

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01論理哲学論考 概要

著者:ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン。発表:1921年。キーワード:世界・事実・命題・論理・沈黙。『論理哲学論考』は、言語と世界の関係を論理的に分析することで、哲学の問題を解消しようとした革命的な著作。

02成立背景と狙い

フレーゲやラッセルの数理論理学に影響を受け、言語の限界を明確にすることを目指した。哲学的問題の多くは言語の誤用・混乱から生じるという問題意識が出発点。第一次世界大戦の従軍中に執筆され、1921年にドイツ語で出版された。

037つの主要命題

本書は7つの主命題を軸に構成される。1:世界は成立している事態の総体である。2:成立していること(事実)とは、諸事態の存立である。3:事実の論理像が思想である。4:思想は有意義な命題である。5:命題は基本命題の真理関数である。6:真理関数の一般形式が命題の一般形式である。7:語りえぬものについては、沈黙しなければならない。

04絵画説(像理論)

命題は世界のあり方を「像(ビルト)」として表す。命題が真であるのは、それが描写する事実が実際に成立している場合。言語と世界は同じ論理形式を共有しており、この共通の構造によって命題は意味を持つ。

05論理形式と真理関数

基本命題(原子命題)は世界の事態を直接描写する。複合命題は基本命題の真理関数として構成される。恒真命題(トートロジー)は常に真だが世界について何も語らず、矛盾命題は常に偽。論理は世界の骨格を示すが、世界の内容は示さない。

06語ること・示すこと・限界

言語で「語れる」のは、自然科学の命題のような事実のみ。論理形式そのものは語れず、命題によって「示される」。倫理・美・神についての命題は有意義ではなく、語ろうとすること自体が言語の限界を越える試み。哲学の仕事は言語の混乱をほどくことにある。

07倫理・価値・神秘

倫理・美・神・生の意味といった価値の問題は、語りえない領域に属する。「世界がいかにあるかではなく、世界があるということが神秘的である」。これらは言語で表現できないが、だからこそ最も重要なものとしてウィトゲンシュタインは示した。結語:「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」。

08影響と受容

ウィーン学団(論理実証主義)はこの書を論拠に形而上学を排除しようとした。分析哲学全体の方向性を決定づけ、ラッセル・ムーアの系譜を受け継ぎながらも独自の地平を開いた。言語・論理・科学の関係についての議論に根本的な問いを投げかけた。

09批判と後期ウィトゲンシュタインへの転回

前期(論考):絵画説・論理形式・言語の限界。後期(哲学探究):言語ゲーム・家族的類似性・日常言語。ウィトゲンシュタイン自身が後に論考の一元的な言語観を批判し、意味は使用にあるという多元的な立場へ転回した。

10まとめ

5つの要点:①言語は世界を像として写す(絵画説)。②語れるのは自然科学の命題のみ。③論理は世界の形式を示すが語れない。④倫理・価値・神秘は言語の外にある。⑤哲学の役割は言語の混乱を解消すること。キーワード:事実・命題・論理・限界・沈黙。