
初級6
地球科学・海洋
海はなぜ塩辛いのか
編集部
氷河期が起きる仕組みを、地球の軌道変化(ミランコビッチ・サイクル)から温室効果ガスの変動、アルベド効果、海流の変化まで連鎖するフィードバックとして解説する。複数の要因が絡み合う地球気候システムの壮大な仕組みが、この1冊でスッキリ理解できる。
氷河期が起きる仕組みを、地球の軌道変化(ミランコビッチ・サイクル)から温室効果ガスの変動、アルベド効果、海流の変化まで連鎖するフィードバックとして解説します。複数の要因が絡み合う地球気候システムの壮大な仕組みが、この1冊でスッキリ理解できます。このスライドでは、そもそも氷河期とは?・引き金①地球の軌道変化(ミランコビッチ・サイクル)・引き金②夏が涼しいと雪が残る・温室効果ガスが寒冷化を強めるなど、10枚のスライドでわかりやすく解説していきます。
「氷河期」は、地球の気候が長期的に氷床(大陸を覆う氷)が発達しやすい状態にある時代全体を指します。その中で、特に寒さが厳しく氷床が大きく広がる時期が「氷期(ひょうき)」、比較的暖かく氷床が縮小する時期が「間氷期(かんぴょうき)」です。氷期には氷床が大きく発達して気温が低く海面は低くなり、間氷期には氷床が縮小して比較的暖かく海面は高くなります。長い氷河時代の中で、こうした氷期と間氷期が繰り返されます。
地球が受け取る日射の分布がゆっくり変わることが氷河期の引き金となります。離心率は地球の公転軌道の「いびつさ」が10万年周期ほどで変化するもので、地軸の傾きは約22.1°〜24.5°の間で約4万年周期で変化します。さらに地軸の向きがコマのようにゆっくり円を描くように変化する歳差運動(約2.3万年周期)も重なります。これらが組み合わさって特に高緯度の夏の日射が弱まると、雪が溶け残りやすくなります。
氷河期の始まりでは、冬に降った雪が夏でも溶け切らず、少しずつ積み重なって氷床へ育ちます。夏の日射が弱い年は雪が夏でも溶け切らず残り、北半球高緯度の陸地で雪が溶け残ると、白い雪や氷が太陽光を反射してさらに温まりにくくなり、氷床が広がります。雪の存在が圧縮されて密度が増し、氷床拡大という連鎖が起きるうえ、特に北半球の高緯度の大陸が重要な役割を果たします。
軌道変化だけでは変化は小さいですが、二酸化炭素やメタンの減少が寒冷化を増幅します。日射の変化をきっかけに海や陸が反応して氷や雪が広がり海面水温が下がると、海や陸にCO₂がより多く取り込まれて大気中のCO₂が減少します。温室効果が弱まって熱が逃げやすくなるとさらに寒冷化が進み、こうした連鎖が繰り返されます。CO₂やCH₄が増えると大気が熱を多く閉じ込め地球が温まりやすく、減ると逆に冷えやすくなります。
雪や氷は太陽光をよく反射するため、広がるほど地表は暖まりにくくなり寒冷化が強まります(アルベド効果)。雪や氷の地表は反射率が高く熱を吸収しにくいのに対し、暗い地表や海は反射率が低く多くを吸収して暖まりやすいです。氷が増えると地球がさらに冷えるという正のフィードバックが働き、氷河期の寒冷化を加速させます。
海流や偏西風の変化は、どこに熱や雪が集まりやすいかを変え、氷床の成長を助けることがあります。暖流は熱を高緯度へ運び、寒流は冷たい水を運ぶため、海流の変化で熱が届く場所が変わります。また風は水蒸気を運んで雪や降水の場所を変え、降雪が増える場所では氷床の成長を助けます。こうして複数の要因がつながって気候が変化します。
数百万〜数千万年のスケールでは、大陸の位置や山脈の形成が海流や風化を変え、CO₂や気候の背景条件を左右します。山脈形成によって風化が促進されるとCO₂が減少し、大気中のCO₂が下がると温室効果が弱まり氷河期が起きやすい背景条件が整います。短期(数万〜10万年)の氷河変化とは別に、長期(数百万〜数千万年)の大陸配置の変化が氷河期の「背景」をつくっています。
過去の気温や大気の成分は、氷床コアの気泡や海底堆積物、地形の痕跡から読み解かれます。氷床コアは氷の中に閉じ込められた気泡から過去の大気成分(CO₂など)や気温がわかるもので、海底堆積物は化石(有孔虫など)の種類の割合変化から海水温の変化がわかります。また氷河地形(モレーンや氷食)から氷の広がりや流れた方向がわかります。過去80万年の気候変動の記録から、氷期と間氷期の繰り返しが確認されています。
今回は氷河期はなぜ起きるのかについてお伝えしました。氷河期の引き金は日射分布の変化で、地球の軌道変化により高緯度での夏の日射が減ると雪のスイッチが入ります。その後、雪の存在によるアルベド増加、温室効果ガス(CO₂・CH₄)の減少、氷床拡大という複数のフィードバックが連鎖して大規模な寒冷化が進みます。氷河期は一つの原因ではなく、地球の軌道変化をきっかけに複数のフィードバックが連鎖して起こる壮大な気候変動です。