
初級3
地球科学・プレートテクトニクス
地震はなぜ起きるのか
編集部
なぜ日本に地震や火山が多いのか、ヒマラヤはどうしてあれほど高いのか——プレートテクトニクスはこれらすべてを「動くプレート」という一つの枠組みで説明する地球科学の基本言語。ウェゲナーの大陸移動説から海洋底拡大の発見へ、20世紀最大の地球科学革命を解説する。
プレートテクトニクスは、地球表面を覆う10数枚のプレートの動きで地震・火山・山脈・海溝を説明する地球科学の統一理論です。20世紀後半に確立し、マントル対流による大陸移動を科学的に裏付けました。このスライドでは、プレートの基本構造から運動のメカニズム、日本列島との関係までを解説します。
プレートとは、地球の最外層である岩盤のうち、比較的かたいリソスフェア(岩石圏)の断片のことです。地球表面は10数枚の大きなプレートと複数の小プレートに分かれており、大陸地殻と海洋地殻の両方を含んでいます。プレートはマントル上部に浮かぶように乗っており、マントルの対流によってゆっくりと動いています。プレートの動きが地震・火山・山脈・海溝などさまざまな地質現象を生み出す原動力となっています。
プレートを動かす主な力はマントル対流です。地球内部の熱によってマントルがゆっくり対流し、プレートを引きずるように動かします。また海嶺で新しいプレートが生まれ押し広がる「リッジプッシュ」と、重い海洋プレートが沈み込む際に引っ張る「スラブプル」という力も重要です。これらが組み合わさってプレートが年間数センチメートルという速度で移動し、大陸や海底地形を少しずつ変え続けています。
プレートの境界には三種類あります。まず「発散境界」は海嶺などでプレートが離れていく境界で、マグマが上昇して新しい地殻がつくられます。次に「収束境界」はプレートが衝突する境界で、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む「沈み込み帯」では深い地震や火山が生じ、大陸どうしが衝突すると山脈が形成されます。三つ目は「トランスフォーム境界」でプレートが水平にすれ違い、地震が発生します。
海嶺は海底山脈の連なりで、プレートの発散境界にあたります。ここではマントルからマグマが上昇して新しい海洋地殻が生まれ、両側へ広がっていきます。この「海洋底拡大」によって海底は年々新しくなり、古い海洋地殻は最終的に沈み込み帯で沈んでいきます。古い海洋地殻ほど海嶺から遠くに位置し、年齢・地磁気縞模様・水深などの観測がプレートテクトニクスの重要な証拠となりました。
沈み込み帯では、重い海洋プレートが大陸プレートや別の海洋プレートの下に潜り込みます。この過程でプレート間に巨大な歪みが蓄積し、解放されるときに地震(海溝型地震)が発生します。また沈み込んだプレートから水が放出されマントルが融けてマグマが生成され、地表に火山として噴出します。日本列島は複数のプレートの沈み込み帯に位置するため、世界有数の地震・火山活動の多い地域となっています。
かつてウェゲナーが提唱した大陸移動説は、プレートテクトニクスによって科学的に裏付けられました。証拠としては、大陸の輪郭の一致(南アメリカとアフリカの海岸線が合う)・化石の分布(離れた大陸に同じ生物の化石)・地質構造の一致・海底の地磁気縞模様などがあります。これらの証拠が積み重なり、かつて一つだった超大陸「パンゲア」が分裂して現在の大陸配置になったという理解が確立しました。
世界地図で見ると、地震や火山の多くはプレート境界に沿って分布しています。ランダムに分布しているのではなく、沈み込み帯では深い地震と火山が多く、海嶺では浅い地震と火山が見られ、トランスフォーム断層では浅い地震が集中します。特に太平洋を取り囲む環太平洋火山帯(Ring of Fire)に地震と火山が集中しており、これはプレートテクトニクスが現実の地球で働いていることを示す直感的な証拠です。
プレートの運動は資源の分布や地形の形成とも深く関わっています。造山運動によりヒマラヤ山脈・アルプス山脈などの巨大山系が形成され、沈み込み帯では金属鉱床が生成されます。石油・天然ガスなどの化石燃料も堆積盆地の形成と深く関係しています。また地形は水循環を変え、プレートの長期的な運動は気候にも影響を与えます。プレートテクトニクスは地球の地形・資源・環境を統一的に説明する理論です。
今回は、プレートテクトニクスについてお伝えしました。地球の表面は10数枚のプレートに分かれており、マントル対流によって動いています。発散境界・収束境界・トランスフォーム境界というプレートの境界のタイプが、地震・火山・山脈・海溝というさまざまな地質現象を生み出しています。大陸移動・海洋底拡大・地震と火山の分布など複数の証拠に支えられたプレートテクトニクスは、地球の姿を統一的に理解するための強力な理論です。