原油とは、地下に長い時間をかけて生成された炭化水素の混合物です。主な成分は炭化水素(主成分)のほか、硫黄分・窒素分・酸素分・ニッケルやバナジウムといった微量金属を含んでいます。産地によって色・密度・粘度などの性質が異なり、軽質・重質の違いや硫黄分の多少により用途も変わります。そのままでは使いにくいため、精製によって各種製品に加工する必要があります。
探鉱とは、地質や物理的な調査・試掘を通じて原油が存在する可能性の高い場所を見つけ出すプロセスです。まず地表の地質や岩石を調べる地質調査を行い、次に地震波を地下に反射させて地下構造を解析する物理探査を実施します。その後、実際に掘削して原油・ガスの存在を確認する試掘を行います。貯留構造・断層・トラップの確認と、商業生産に足る埋蔵量があるかどうかの判断が重要で、探鉱は高コスト・高リスクながら石油開発の出発点となります。
掘削では、やぐら・ドリルパイプ・ドリルビットを使って地下深く井戸を掘ります。流れは四ステップで、まずドリルパイプとビットで地下を掘り進め、次に泥水(マッド)で冷却・崩壊防止しながら進めます。掘った壁を安定させるためにケーシング管を挿入し、最後にセメントで固定して井戸を完成させます。高温・高圧・噴出リスクに常に注意しながら、安全に生産できる井戸を構築することが目的です。
生産とは、地下の油層から原油をくみ上げ、地上で原油・天然ガス・水に分離するプロセスです。陸上生産(オンショア)と海上生産(オフショア)の二種類があります。地下圧で自然に原油が出る場合もありますが、圧力が低下した後はポンプで採油し、セパレーターで水やガスを分離して処理します。生産量を維持するため圧入を行うこともあり、品質管理と安全管理が欠かせません。
採取した原油は、パイプライン・タンカー・貯蔵タンクの三つの手段で製油所まで運ばれます。パイプラインは陸上での大量・連続輸送に向き、タンカーは国際輸送で広く利用され、貯蔵タンクは供給調整と品質管理に使われます。輸送時には漏えい防止・温度と圧力の管理・在庫管理・安定供給の確保が重要な課題です。安全・環境への配慮として、漏えい防止対策・環境保護・作業員の安全確保・緊急時の対応体制が整えられています。
製油所に到着した原油は、まず受け入れ・貯蔵ののち、脱塩・加熱という前処理を経て蒸留装置へ送られます。塩分や水分を含む原油は電気脱塩装置などで塩を除去します。これは塩分や水分が蒸留装置を腐食させるためで、また不純物が品質や精製効率に影響するためです。次に加熱炉で蒸留に適した高温まで原油を加熱します。精製の第一歩は、原油を安定して処理できる状態に整えることです。
常圧蒸留では、加熱した原油を蒸留塔に通し、成分ごとの沸点の違いを利用して分離します。低沸点成分は上部へ昇り、高沸点成分は下部に残るという原理です。低温側(約30〜150℃)からガスとナフサが、中温域で灯油(沸点約180〜250℃)と軽油(沸点約250〜350℃)が、高温側(約350℃以上)で重油が取り出されます。これは大まかに成分を分ける最初の工程であり、この後にさらなる処理が続きます。
蒸留で分けた成分は、さらに三つの二次処理によって高付加価値な製品へ変えられます。まず「分解(クラッキング)」では、重い炭化水素を切り分けて軽い燃料(ガソリン・軽油など)にして軽質油の収率を高めます。次に「改質(リフォーミング)」では、低オクタンの直鎖分子を高オクタンの芳香族分子や石油化学原料に変えて品質を向上させます。そして「脱硫」では硫黄化合物を除去してクリーンな燃料にし、大気汚染や触媒劣化を防ぎ環境規制に対応します。
石油は私たちの生活と産業をさまざまな形で支えています。ガソリンは自動車の燃料、軽油はトラックやバスの燃料、灯油は家庭暖房や農業用、重油は船舶や発電所の燃料として利用されます。また潤滑油は機械の摩擦を防ぎ、石油化学原料はプラスチックや化学品の素材となります。原油は地下から探鉱・掘削・生産・輸送・精製・製品化というプロセスを経て届けられ、燃料と化学工業素材の両面からエネルギー供給と産業を支える基盤資源です。今回は原油採掘から石油精製までの流れについてお伝えしました。