磁石には「磁場」があり、N極とS極のまわりに力がはたらきます。見えない磁力の広がりを磁場と言い、磁場の向きは方位磁針で確かめられます。大切なのは、磁石は「磁場を作るもの」であり、地球もその一種のようにふるまっているという点です。
地球のまわりには磁場が広がっており、方位磁針はその向きにそっておおむね北と南を指します。これは地球全体が大きな磁石のように働いているためです。ただし地理上の北極と磁極の位置は完全には一致せず、磁極は磁場の向きが集まる地球上の地点であり、時間とともに少しずつ移動しています。
地球磁場のもとは、地球の深部にある高温の金属の流れにあります。地球は外側から地殻・マントル・外核・内核の4つの層から成っています。特に重要なのが外核であり、ここには液体の鉄・ニッケルが存在します。この外核の「液体金属の対流」が磁場を生み出す原動力になっています。
液体の金属が流れると電流が生まれ、その電流が磁場を作ります。この仕組みをダイナモ作用と言います。まず外核では高温の液体鉄が対流しています。次に地球の自転がその流れを整え渦をつくります。そして動く導電性の液体が電流を生み出し、その電流が地球全体の磁場を維持します。ダイナモ作用を支えるのは、熱・流体の運動・自転・電気を通す金属の4要素です。
地球磁場が生まれる流れは4段階で理解できます。まず地球内部の熱が深部の液体金属を動かします。次に外核で液体の鉄・ニッケルが対流します。そして動く導電性液体から電流が発生し、最後にその電流が地球規模の磁場を作り出します。「動く金属」が電気と磁気を結びつけることが地球磁場誕生の核心です。
地球磁場は、太陽から飛んでくる高エネルギー粒子の多くをそらしています。磁場には4つの重要な役割があります。まず太陽風から地球周辺を守ります。また大気がはぎ取られるのを防ぐ助けになります。さらに強い放射線が地表に届く量を減らします。そして極域ではオーロラとして観察されます。太陽風とは太陽から流れ出す電気を帯びた粒子の流れのことです。
地球の磁場は一定ではなく、磁極の位置や強さは長い時間の中で変化しています。磁北はカナダ北部からシベリア方面へ少しずつ移動しており、磁場の強さも場所や時代によって異なります。また地質時代にはN極とS極が入れ替わる「磁場反転」が繰り返し起きました。磁場反転とは長い年月をかけて磁場の向きが逆転する現象で、地球の自然な活動の一部と考えられています。
磁場が弱い、あるいは存在しない場合、地球環境は今とは大きく異なっていた可能性があります。太陽風の影響をより強く受け、大気が少しずつ失われやすくなる可能性があります。また人工衛星や通信への影響が大きくなり、生物が受ける放射線リスクも高まります。火星はまさにこの状態に近く、地球のような強い全球磁場を持たないため大気を保ちにくかったと考えられています。
今回はなぜ地球が磁石のようにふるまうのかについてお伝えしました。地球内部の外核には液体の鉄・ニッケルがあり、その流れと自転によって電流が生まれます。その電流が地球全体の磁場を作り出し、地球磁場は太陽風から地球環境を守っています。見えない磁場は、地球の内部活動と生命環境をつなぐ大切なしくみなのです。