
初級6
動機づけ心理学
自己決定理論
編集部
「自分ならできる」という感覚が、行動・努力・継続を左右します。心理学者アルバート・バンデューラが提唱した自己効力感の定義・4つの形成要因・実生活への応用まで、行動変容の核となる概念をわかりやすく解説します。このスライドでは、自己効力感の定義・理論的背景・自己効力感を形づくる4つの源泉・達成経験など、10枚のスライドでわかりやすく解説していきます。
自己効力感とは、ある状況で必要な行動をうまく実行できるという信念のことです。「自分はこの課題を達成できる」という期待であり、課題や場面ごとに変わります。行動の開始・努力量・粘り強さに影響し、成功経験によって強まりやすいという特徴があります。自尊感情(自分の価値の感じ方)や結果期待(やればどんな結果になるか)とは異なり、自己効力感は「能力そのもの」ではなく「できるという認知」です。
バンデューラは社会的学習理論から社会的認知理論へと発展させ、人の行動が「個人・行動・環境」の相互作用で決まると考えました。人は環境に受け身なだけでなく、観察学習によって行動を学ぶことができます。モデルを見て試すという観察学習の仕組みと、行動選択の中核をなす自己効力感が、バンデューラの理論の重要な柱となっています。
バンデューラが示した自己効力感の形成要因は4つあります。まず達成経験(自分で成功した経験)、次に代理経験(他者の成功を見ること)、そして言語的説得(励ましやフィードバック)、最後に生理的・情動的状態(緊張・安心などの身体感覚)です。この中で一般に最も強い影響を持ちやすいのが「達成経験」とされています。
「自分でできた」という経験が、最も強い自己効力感の源泉です。小さな成功体験の積み重ねが大きく高めてくれます。成功は「次もできる」という見通しを生む一方、難しすぎる失敗の連続は自己効力感を下げやすいため、適切な難易度の課題設定が重要です。いきなり大目標を目指すのではなく、達成可能な「小目標」から始めることがコツです。
身近な他者の成功が「自分にもできそう」という感覚を生みます。自分と似た人が成功するのを見ると自己効力感は高まりやすく、特に「自分に近い条件の人」ほど影響が大きいです。逆に失敗モデルばかりを目にしていると不安が高まりやすくなります。ロールモデルは「遠すぎない存在」が効果的であり、手の届く成功例が行動への自信を育てます。
励ましやフィードバックが挑戦を後押しします。「あなたならできる」という言葉が行動を始めるきっかけになり、周囲からの励ましは挑戦意欲を高め、具体的なフィードバックは改善の方向を示してくれます。ただし根拠のない賞賛だけでは効果が弱く、過度に甘い励ましより「具体的で現実的な支援」が重要です。
緊張や安心といった身体感覚も「できそうか」を判断する材料になります。人は心拍・緊張・不安・疲労・安心感を手がかりにして行動の可否を判断しています。強い不安は「できないかもしれない」というサインになり、落ち着きや安心感は力を発揮しやすい状態をつくります。深呼吸・準備の見える化・休息・ルーティン化など、状態を整える工夫が自己効力感を支えます。
自己効力感が高い場合、難しい課題にも挑戦し、努力を続けやすく、失敗を学びに変えやすいという特徴があります。一方で低い場合は最初から回避しやすく、少しの失敗であきらめやすく、不安にとらわれやすくなります。ただし過信は禁物であり、現実的な自己評価とのバランスが大切です。自己効力感の違いが行動の質と持続性に大きな差を生み出します。
今回は自己効力感とバンデューラの理論についてお伝えしました。自己効力感は行動を支える「できる感」であり、4つの形成要因(達成経験・代理経験・言語的説得・生理/情動的状態)から育てることができます。今日からできることとして、小目標を設定する、身近なロールモデルを見つける、具体的なフィードバックを受ける、そして不安への対処法を持つことが大切です。「できるかもしれない」という感覚が次の一歩を生み出します。