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目撃証言の誤情報効果実験
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心理学・記憶研究の代表的実験

目撃証言の誤情報効果実験

1974年にエリザベス・ロフタスとジョン・パーマーが行った誤情報効果実験は、人の記憶が後から与えられた情報によって書き換えられることを実証した古典的研究です。「smashed」と「hit」という1語の違いだけで速度の記憶が変わり、存在しないガラスを「見た」と偽記憶することさえ起きました。目撃証言の信頼性と司法・捜査の在り方に根本的な問い直しをもたらした研究です。

本スライドは一次資料をもとに運営者が企画・監修し、AIツールを制作補助として活用したオリジナルの教養コンテンツです。
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01目撃証言の誤情報効果実験

「確かにそう見た」と思っていた記憶が、後からの一言で書き換えられることがある。1974年にロフタスとパーマーが行った実験は、質問に含まれる動詞一語が事故の速度記憶を変え、存在しないガラスさえ「見た」と信じさせることを実証しました。

02なぜこの実験が重要なのか

人は見たことをそのまま保存するのではなく、あとから得た情報も混ぜて思い出します。目撃証言は裁判や捜査で大きな証拠となりますが、記憶は録画のように固定されているわけではありません。会話・報道・誘導的な質問が記憶の内容を変えることがあり、自信をもってした証言が必ずしも正確とは限りません。誤情報効果の研究は、記憶研究と司法心理学をつなぐ重要なテーマです。

03古典的な実験デザイン

ロフタスとパーマーが1974年に発表した実験は次の手順で進められました。まず参加者に自動車事故の映像や一連のスライドを見せます。次に事故後の速度や状況について質問します。そして後日、細部を覚えているかを再度たずねます。この実験の目的は、質問文に含まれる表現が、その後の記憶報告を変えるかどうかを調べることでした。独立変数は質問の言い回しで、従属変数は速度推定と細部の想起です。

04質問文の違いがカギ

実験では「車同士はどのくらいの速さで『___』しましたか?」という質問の動詞を変えました。smashed(激しくぶつかった)・collided(衝突した)・bumped(ごつんと当たった)・hit(ぶつかった)・contacted(接触した)という5種類が使われました。強い言葉ほど激しい事故を想像しやすく、参加者は実際の映像以上に大きな衝突を推測しました。質問自体が「あとから入る情報」として記憶に影響を与えるのです。

05結果①:速度の見積もりが変わる

同じ映像を見た参加者でも、質問の動詞によって平均推定速度が大きく異なりました。smashed群は約40.8 mph、collided群は約39.3 mph、bumped群は約38.1 mph、hit群は約34.0 mph、contacted群は約31.8 mphと報告しました(数値は代表的な報告値の概数)。知覚そのものより質問文の印象が判断に混ざり、記憶報告が数値推定にまで影響することが示されました。

06結果②:『割れたガラス』の偽記憶

実験から1週間後に「割れたガラスを見ましたか?」と尋ねたところ、強い表現(smashed)を聞いた群の約32%が「見た」と答えたのに対し、弱い表現(hit)を聞いた群では約14%にとどまりました。実際の映像には割れたガラスは映っていませんでした。あとからの言葉が記憶の細部を作り替え、単なる推測ではなく「思い出した感覚」が生じる現象、これが偽記憶(false memory)の一例です。

07なぜ記憶がゆがむのか

誤情報効果が起きるメカニズムは主に3つあります。まず再構成的記憶として、思い出す行為は録画の再生ではなく情報を組み立てる行為です。次にソース・モニタリング・エラーとして、どこで得た情報かを意識しにくいため元の記憶と後からの情報が混ざりやすくなります。さらにスキーマの補完として、記憶の空白は既存の知識や期待によって自動的に埋められます。記憶は保存庫ではなく、編集されるストーリーなのです。

08司法・捜査への示唆

目撃証言を扱う際には「聞き方」が極めて重要です。避けるべき行為として、誘導的な質問をすること・他人の証言や報道を先に見せること・複数の目撃者をすぐに話し合わせること・最初の自由報告を取らないことが挙げられます。望ましい工夫として、中立的で開かれた質問を使うこと・目撃者を分けて聴取すること・できるだけ早く最初の証言を記録すること・認知面接法などを活用することが重要です。証言の信頼性は「人の誠実さ」だけでなく「手続きの質」にも左右されます。

09限界とその後の研究

この実験の主な限界として、実験室の事故映像は現実の重大事件より単純であること・感情の強さやストレス・時間経過で影響が変わること・年齢や個人差によって誤情報への弱さが異なることが挙げられます。一方でその後の発展として、多くの追試で誤情報効果が繰り返し確認され、目撃証言の評価法や面接法の改善につながりました。また記憶研究・教育・メディア研究にも広く応用されています。「記憶は不完全」という理解が、実務改善の出発点です。

10まとめ

今回は目撃証言の誤情報効果実験についてお伝えしました。この実験から学べることは4点あります。まず記憶は固定記録ではなく再構成されるものであること、次に質問の言い回しの違いが判断や想起を左右すること、さらに存在しない細部まで思い出す偽記憶が生まれることがあること、そして司法・報道・面接では聞き方を慎重にする必要があることです。目撃証言は重要ですが、そのまま鵜呑みにせず、得られ方まで含めて評価すべきという教訓をロフタスの研究は示しています。

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