絶滅が起きる前、白亜紀末の地球は温暖で生命に満ちた世界だった。陸上では多様な恐竜が繁栄し、海や空もさまざまな生物で生きていた。植物も豊かで、森や草原が広がり、バランスの取れた生態系が存在していた。草食・肉食の恐竜が各地で繁栄し、鳥類・哺乳類・海の生物も多様化していた。
白亜紀と古第三紀の境界(K-Pg境界)では、多くの生物種が地質学的に短い時間のうちに絶滅した。約6600万年前に地層の境目が確認でき、非鳥類恐竜を含む多くの生物が消えた。変化は地質学的には非常に急で、非鳥類恐竜も犠牲者の一つとなった。
白亜紀の末期、地球に巨大な隕石が衝突したと考えられている。直径約10km級の天体が衝突し、衝突地点は現在のメキシコ・ユカタン半島付近とされる。爆発的なエネルギーが地球規模の影響をもたらし、このエネルギーは人類が経験した最大の核爆発をはるかに超えるものだった。
メキシコ・ユカタン半島沖の海底で、科学者たちは巨大なクレーターを発見。これを「チクシュルーブ・クレーター」と呼ぶ。直径約180kmの巨大クレーターで、年代が大量絶滅の時期とよく一致する。地球に埋もれていた証拠が観測で確認され、隕石衝突説を支える決定的な手がかりとなった。
巨大隕石の衝突は、地球に瞬間的な大混乱をもたらした。超巨大地震と衝撃波が発生し、津波が広い範囲を襲った。高温の噴出物が降り注ぎ、森林火災が広がった可能性がある。短期的な連鎖反応として、隕石の衝突→衝撃波・地震→津波の発生→噴出物の降下→大火災の拡大、という流れが起きたと考えられる。
隕石衝突で舞い上がったちり・すす・硫酸エアロゾルが太陽光をさえぎり、地球は長く厳しい暗黒状態になったと考えられる(衝突の冬)。これにより気温が低下し、植物の光合成が弱まり、草食動物から肉食動物まで連鎖的に打撃を受け、多くの恐竜が絶滅した。長期的な環境変化がカギだった。
現在のインド付近では、白亜紀末に「デカン・トラップ」と呼ばれる大規模な火山活動が起きていた。長期的なガス放出により気候変動と海洋の酸性化が進んだ可能性がある。二酸化炭素や硫黄ガスが環境に影響した可能性があり、隕石衝突と火山活動の複合作用を考える研究も多い。単一要因ではなく複合要因という見方が広まっている。
大量絶滅によりティラノサウルス・トリケラトプスなどの非鳥類恐竜は絶滅したが、鳥類・ワニ・カメなどは生き残った。鳥類は恐竜の仲間として生き残り、小型で省エネな動物は有利だった可能性がある。水辺や地下の環境が避難場所になったかもしれず、生き残った種がその後の進化を支えた。絶滅は「完全な終わり」ではなかった。
非鳥類恐竜の絶滅は、巨大隕石の衝突が引き金となったと考えられている。衝突後の環境変化が生態系を乱し、火山活動などの複数要因も議論されている。絶滅後、鳥類や哺乳類の時代が開かれ、この大転換が現在の地球と私たちの命につながっている。地球の歴史は偶然と環境変化に左右されてきた。