CBTは、考え方と行動に働きかけて心の負担を軽くする心理療法。①気分のつらさに影響する「考え方」と「行動」に注目する。②問題の悪循環を整理し、現実的な考え方や行動を身につける。③うつ・不安・ストレス対処などで広く用いられる。認知・感情・身体反応・行動は互いに影響し合い悪循環になることもある。CBTは専門家との対話やワークを通して、自分らしい毎日を取り戻すお手伝いをする心理療法。
出来事そのものではなく、受け取り方(認知)が気分や行動に影響する。出来事→認知(考え・解釈)→感情→行動というフローで捉え、行動の結果が次の出来事や考えに影響するフィードバックループも生じる。例:友人から返信が遅い→「嫌われたかも」→不安になる→連絡を避ける。考え方が変わると感情や行動も変わりやすい。
自動思考とは、ある状況の中で瞬間的に心に浮かぶ考えのこと。特徴は「瞬間的に浮かぶ」「気分に強く影響する」「必ずしも事実ではない」の3点。例:上司に注意された→「自分はダメだ」「失敗した」という自動思考が瞬時に浮かぶ→落ち込む・不安になる・自信がなくなる。自動思考に気づくことがCBTの第一歩。
認知のゆがみとは、偏った考え方のクセのこと。代表的な6種類:全か無か思考(一度失敗した→もう全部ダメだ)、先読みのしすぎ(きっとうまくいかない→悪い結果になるに違いない)、心のフィルター(悪いことだけに注目する)、過度の一般化(一つの出来事をすべてに当てはめる)、べき思考(「〜すべき」と自分や他人を厳しく評価する)、自己関連づけ(出来事の原因をすべて自分のせいにする)。ゆがみに気づくことで、より現実的で柔軟な見方ができる。
CBTでは行動を変えることで気分や感情も変わる。3つのアプローチ:①行動活性化(小さな行動を増やして気分を立て直す。気分が落ち込んでいるときほど意識的に「やってみる」ことが大切)、②曝露(不安を避けずに少しずつ慣れていく。安全な範囲で段階的に向き合うことで不安は自然と弱まる)、③問題解決(課題を分けて現実的に対処する。小さなステップで解決策を実行する)。小さな一歩の積み重ねが自信と未来につながる。
CBTは5つのステップで進める。①困りごとを整理(現在の困りごとを明確にし、目標を決める)→②状況・考え・気分を記録(困った場面での状況・考え・気分・行動を記録し、パターンに気づく)→③考え方の検討(自動思考の偏りに気づき、よりバランスのとれた考え方を探す)→④行動を試す(新しい考えに基づいて小さな行動を試す)→⑤振り返り(結果を確認し次につなげる)。セッション間のホームワークで日常に学びを活かすことが変化の鍵。
CBTの4つの主要技法。①コラム法(思考記録表):状況・考え・気分・別の見方を記録し、考えを見える化して柔軟に検討する。②認知再構成:偏った考えや思い込みを見直し、よりバランスのとれた考え方に修正する。「失敗したらどうしよう」→「準備をしてきたから、きっとうまくいくはず」。③行動実験:実際に行動して結果を確かめ、思い込みを検証して新しい考え方を育てる。④リラクセーション:腹式呼吸・漸進的筋弛緩法・マインドフルネスで心身の緊張をやわらげる。
CBTが効果を発揮する主な場面:うつ、不安症、パニック障害、強迫症(OCD)、ストレス対処、睡眠の悩み。症状や困りごとに合わせて、考え方と行動の両面から支援する。重い症状や緊急時は医療機関・専門家への相談が重要。
同じ出来事でも、考え方を変えることで気持ちや行動が変わる例。【ビフォー】会議で発言後に沈黙→「変なことを言った、評価が下がった」(自動思考)→不安・落ち込み、次から発言を避ける。【アフター】同じ状況でも→「皆が考えていただけかもしれない。1回の発言で全ては決まらない」(バランスのとれた思考)→「次回も短く意見を言ってみる」(新しい行動)へ変化。出来事そのものは変えられなくても、「受け止め方」と「行動」は変えられる。
CBTのポイント4点。①CBTは考え方と行動の両方に注目する。②自動思考や認知のゆがみに気づくことが出発点。③小さな行動の変化が気分の改善につながる。④練習を重ねることで日常に活かせる。CBTの基本サイクル:考え(認知)・気分・感情・行動が互いに影響し合っている。「考え方は変えられる、行動も変えられる」。