脳の中の記憶の住所を探る。記憶は1か所ではなく種類ごとに異なる脳回路で支えられる。①記憶には種類がある(エピソード記憶・意味記憶・手続き記憶・ワーキングメモリ)②保存には複数の脳部位が関わる(海馬・大脳皮質・扁桃体・小脳)③海馬が入口、大脳皮質が長期保存に重要。
エピソード記憶(出来事・体験)、意味記憶(言葉・事実・知識)、手続き記憶(自転車・楽器など体で覚える)、ワーキングメモリ(一時的に保持して考えるための記憶)。記憶の種類が違えば重要な脳部位も変わる。
見る・聞く・経験する感覚情報を結びつけ、新しい記憶を作る中心的な役割。①出来事の時間・場所・文脈を結びつける、②損傷すると新しい記憶を作りにくくなる、③古い記憶の多くは大脳皮質に残る。海馬は長期保管庫というより受付・中継所に近い。
知識や経験は広い皮質ネットワークに分散して保存。視覚野(後頭葉)・聴覚野(側頭葉)・側頭連合野・頭頂連合野。長期記憶は1つの棚ではなく分散型ネットワークとして保存される。
怖さ・喜び・驚きは記憶の残りやすさを左右する。感情が強い体験ほど強く記憶に残るのは扁桃体が記憶の強化に関与するため。ストレスホルモンが記憶固定を促進する。何を覚えるかだけでなくどれだけ強く残るかにも扁桃体が関わる。
何度も練習することで体に自然につく技術は睡眠中に起こる記憶の再活性化と整理のプロセスがある。繰り返し練習することで動作が自動化される。小脳はタイミング調整と誤差修正に関わる。大脳基底核は習慣化やスムーズな動作に関わる。体で覚える記憶には小脳と大脳基底核が重要。
ワーキングメモリは今この瞬間の作業台。会話・計算・計画などを行うとき、前頭前野は必要な情報を短時間だけ保持して操作している。①数字や言葉を一時的に覚えておける、②情報を保持しながら更新・比較できる、③注意力や判断力と深く関わる。ワーキングメモリは長期保存ではなく今使うための記憶である。
海馬から大脳皮質へ記憶が再生され定着する。睡眠中にその日の記憶の再活性化と整理のプロセスがある。重要な情報ほど長期記憶として定着しやすい。睡眠不足は記憶効率を低下させ想起力を下げる。よく眠ることは脳の保存作業を助ける。
エングラムは神経細胞のつながりのパターンとして残る。記憶の正体は特定の一点ではなく脳内ネットワークに刻まれた活動パターンと考えられている。①1つの思い出でも複数の脳領域に分散する、②手がかりがあるとネットワーク全体が呼び戻される、③思い出した後に記憶が書き換わることがある。
①海馬:新しい記憶の入口、②大脳皮質:長期記憶の主保管所、③扁桃体:感情と記憶を強化する、④小脳・大脳基底核:技能や習慣を支える、⑤前頭前野:今使うための記憶を一時保持する。記憶は1か所の倉庫ではなく脳の各領域が連携して支える分散型システムである。