
中級2
現代物理学・統一理論
統一理論・量子重力とは?
編集部
宇宙のすべての粒子は「点」ではなく、微細な「ひも」の振動として捉えられるという超ひも理論です。量子力学と一般相対性理論を統一しようとするこの理論は、10次元の時空や余剰次元、M理論といった革新的な概念を生み出しました。このスライドでは、なぜ超ひも理論が必要なのか・ひもはどうやって粒子になるのか・超対称性(スーパーシンメトリー)とは・余剰次元とは何かなど、10枚のスライドでわかりやすく解説していきます。
標準模型は素粒子物理学の集大成ですが、重力を含むことができません。一方、一般相対性理論は宇宙の大きな構造を説明しますが、量子力学と矛盾します。超ひも理論はこの2つの理論を統一する候補として登場し、すべての粒子とすべての力を1つの枠組みで説明しようとする試みです。
超ひも理論では粒子を点ではなく「ひも」として扱います。ひもには両端が自由な「開いたひも」とループ状の「閉じたひも」の2種類があります。ひもの振動モードの違いが電子・クォーク・光子などさまざまな粒子の種類を決め、閉じたひもの振動モードの1つが重力を伝える粒子・グラビトン(重力子)に対応します。
超対称性とは、物質を構成するフェルミ粒子(電子・クォークなど)と、力を伝えるボース粒子(光子・グルーオンなど)が対称性を持つという考え方です。これによりすべての粒子には「超対称パートナー」が存在すると予言されます。超ひも理論には超対称性が組み込まれており、これが「超」という名前の由来でもあります。
超ひも理論が数学的に矛盾なく成立するためには、10次元の時空が必要です。私たちが認識できるのは4次元(空間3次元+時間1次元)ですが、残る6次元はプランクスケール(10のマイナス35乗メートル)という極めて小さなスケールで折りたたまれ、隠れていると考えられています。その形状はカラビ=ヤウ多様体と呼ばれる複雑な形である可能性があります。
重力が自然に現れることが超ひも理論の大きな特徴です。閉じたひもの振動モードの1つとして重力子(グラビトン)が予測されるため、超ひも理論は量子論と重力を統一する候補として注目されています。また点粒子理論では計算が無限大(発散)になる問題がありますが、超ひも理論では高エネルギーでの発散が抑えられる可能性があります。
かつては5種類の超ひも理論(Type I、Type IIA、Type IIB、Heterotic SO(32)、Heterotic E8×E8)が独立して存在すると考えられていました。しかし双対性(duality)という概念により、これらは互いに関係していることが分かってきました。現在では、その背後に「M理論」という11次元の理論が存在するという見方があります。
ひもだけでなく、高次元の膜(ブレーン)も超ひも理論では重要な役割を持ちます。Dブレーンとはひもの端が付着できる高次元の膜のような存在で、開いたひもはブレーン上に留まり力や物質と関係づけられます。一方、閉じたひもは空間全体を動けるため重力と結びつきやすいとされています。私たちの宇宙自体が1枚のブレーンかもしれないという発想も生まれています。
超ひも理論が本格的に現れるスケールは非常に高エネルギーで、現在の技術では実験による検証が難しい状況です。超対称粒子や余剰次元は、まだ決定的には観測されていません。また解の数が非常に多く、どれが私たちの宇宙に対応するかを特定することも課題(ランドスケープ問題)となっています。それでも量子重力や宇宙論の研究に大きな影響を与え続けています。
今回は超ひも理論についてお伝えしました。粒子を点ではなくひもとして捉え、超対称性・余剰次元・重力を統一的に説明しようとする理論です。特に重力を量子論に取り込める点が大きな魅力であり、現代物理学の重要な研究テーマとなっています。まだ未完成で実験的証拠の乏しい部分も多いですが、自然界の最深部を理解するための壮大な理論的挑戦が続けられています。