
中級1
1ナノメートルの世界で起こる技術革命
ナノテクノロジーとは何か
編集部
電気を「通しすぎず、通さなすぎない」半導体の物質的特性から、ダイオード・トランジスタの動作原理、チップ製造工程まで図解で解説します。スマホ・自動車・AIを支えるこの現代の基幹部品が、なぜ経済安全保障の要となっているのかも明快にわかる内容です。半導体とはどんな物質か・導体と絶縁体との違い・半導体が働く仕組み・ダイオードとトランジスタなど、10枚のスライドで解説します。
半導体の最大の特徴は、電気の流れ方を「調整しやすい」ことです。導体ほどは電気が流れず絶縁体ほどは止めない性質を持ち、温度・光・電圧などの条件によって電気の流れ方が変わります。制御しやすいため電子部品に最適で、主な材料としてシリコン(Si)・ガリウムヒ素(GaAs)・炭化ケイ素(SiC)などが使われています。「ちょうどよく電気を扱える」ことが半導体の価値です。
電気の流れやすさで3種類を比較できます。導体は銅やアルミのように電気を流しやすく、自由電子が多くスムーズに流れます。絶縁体はゴムやガラスのように電気を流しにくく、自由電子がほとんどありません。半導体はシリコンに代表されるもので、条件により電気の流れ方を調整でき「ON/OFFや強弱を作る中間役」として機能します。
半導体では電子が動くことで電流が流れ、電子が抜けた「穴」をホール(プラス)と呼びます。不純物を加える「ドーピング」によって性質を変えることができます。リン(P)などの不純物を加えたn型は電子が多く、ホウ素(B)などの不純物を加えたp型は電子が少なくホールが多くなります。このn型とp型を組み合わせた「pn接合」から多様な部品が作られます。
ダイオードは電流を一方向に流しやすい部品で、整流・保護・発光に使われます。LEDもダイオードの一種です。トランジスタは電流を増幅・スイッチングできる部品で、CPUやメモリの基本素子として使われます。「流す・止める・増幅する」が半導体の基本機能であり、トランジスタは現代の電子回路の主役です。
まず回路を設計してデータを作成し、シリコンの結晶からウェハを製造します。次に光を使って回路を写し不要な部分を削る露光・エッチング工程を経て、精密な検査を行います。最後にウェハを切断してパッケージに封入します。ナノメートル級の精密加工・クリーンルームでの製造・巨額投資が必要な先端産業であり、製造の難しさが半導体の高付加価値を生んでいます。
半導体にはさまざまな種類があります。計算・判断を行うCPUやGPUなどのロジック半導体、データを記憶するDRAMやNANDなどのメモリ半導体があります。現実世界の情報を扱う画像センサーや通信ICなどのアナログ・センサー半導体、大きな電力を効率よく制御するSiCやIGBTなどのパワー半導体もあります。用途が違うため求められる性能も異なります。
半導体は私たちの身近なあらゆる機器に入っています。スマートフォンの通信・演算・カメラ制御、自動車の安全制御・EV・自動運転支援に使われています。また産業機械のロボット制御・自動化、PC・データセンターの計算・保存・AI処理、家電の省エネ制御、医療機器の画像診断・計測にも活用されています。デジタル化・電動化が進むほど半導体需要は高まります。
半導体はあらゆる製品の「頭脳」になる産業の基盤であり、AI・通信・EVで技術競争力の差がつきます。また供給網の重要性も高く、不足すると自動車の減産・家電の納期遅延・価格上昇など世界中の生産が止まりやすくなります。半導体は「経済を動かす戦略物資」でもあります。
今回は半導体についてお伝えしました。半導体は電流を制御しやすい材料であり、ダイオードやトランジスタが基本部品です。多様な種類が社会のあらゆる機器を支えており、製造・供給・技術革新が世界的に重要なテーマとなっています。今後はAI向け高性能半導体・EV向けパワー半導体・省電力化・微細化・経済安全保障とサプライチェーンが注目テーマです。半導体を知ることは現代社会の仕組みを知ることにつながります。