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プロスペクト理論
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行動経済学・意思決定

プロスペクト理論

人は期待値どおりには動かない。カーネマンとトベルスキーが提唱したプロスペクト理論は、損失回避・参照点・確率加重という三つの概念で、投資・買い物・ギャンブル・経営判断における人間の非合理な選択パターンを説明する。

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01プロスペクト理論

02なぜプロスペクト理論が重要か

人は期待値どおりには動かず、見せ方や心理で選択が変わる。合理的モデル(従来):人はすべての選択肢を比較し期待値が最大のものを選ぶ。現実:同じ内容でも利益として示すか損失として示すかで選択が変わる(成功率80%と失敗率20%は同じ情報でも異なる選択を生む)。感情や直感・損得の感じ方が影響し、期待値だけでは説明できない。理論の意義:投資・買い物・ギャンブル・経営判断など実際の意思決定を説明できる。

03基本構造① 参照点で損得を判断する

人は絶対額ではなく、基準(参照点)からの変化で得か損かを感じる。基準よりプラスなら得したと感じ、基準よりマイナスなら損したと感じる。投資:購入価格が基準で、今の株価との差で感じ方が変わる。買い物:通常価格が基準で、値引きされると「得した」と感じやすい。ビジネス:予算や前年実績が基準で、そこからの増減で評価しやすい。

04基本構造② 損失回避

同じ1万円でも、得する喜びより失う痛みのほうが大きく感じられる。1万円得る満足 < 1万円失う痛み。心理の特徴:損失の痛みは、同額の利益の喜びより強い。日常例:「無料がなくなる」「今なら損しない」という表現に反応しやすい。行動への影響:損を確定したくないため、非合理な選択を続けやすい(含み損を持ち続けるなど)。

05基本構造③ 価値関数

利益と損失の感じ方は直線ではなく、参照点を境に非対称なS字カーブになる。利益側:増えるほど満足は大きくなるが、だんだん増え方は鈍る。損失側:損失が大きくなるほど痛みは増えるが、こちらも感度は逓減する。ポイント:原点付近の変化に特に敏感で、損失側の傾きはより急。例:1,000円→2,000円の差は大きく感じるが、101,000円→102,000円の差は小さく感じる。

06基本構造④ 確率加重

人は確率をそのまま受け取らず、小さな確率を過大評価し、大きな確率を過小評価しやすい。宝くじ:ごく小さな当選確率でも、大当たりの可能性を大きく感じる。保険:めったに起こらない事故でも、被害が大きいと加入したくなる。ほぼ確実:99%でも100%ではないと不安になり、確実性を強く求める。客観的な確率と主観的な重み付けがズレることで非合理な選択が生まれる。

07投資でのプロスペクト理論

投資では、損失回避や参照点の影響で「勝ち株を早く売り、負け株を持ち続ける」行動が起こりやすい(ディスポジション効果)。①利益確定を急ぐ:含み益が出ると早く確定したくなる。②損失確定を避ける:含み損は認めたくなく、回復を期待して保有し続けやすい。③損失を取り返したい:過度なリスクを取ることがある。対策:長期ルールを事前に決める・損切りルールを設定する・分散投資でポートフォリオを守る。

08買い物でのプロスペクト理論

買い物では、値引き・損失回避・見せ方によって「お得感」が大きく左右される。通常価格が参照点:10,000円が7,980円になると差額を「得」として強く感じる。割引表示:「30%OFF」は購買意欲を高めやすい。損失回避:「送料無料まであと500円」は損したくない気持ちを刺激する。フレーミング:「今だけ」「残りわずか」は判断を急がせる。

09ギャンブルでのプロスペクト理論

ギャンブルでは、小さな確率の大当たりを過大評価し、負けを取り返そうとしてリスクを高めやすい。小確率の過大評価:当てにくくても「もしかしたら大当たりするかも」という気持ちが大きくなる。損失局面でのリスク志向:負けているときほどリスクを上げやすい。利益局面での安全志向:勝っているときは確実性を求める。利益と損失で行動が変わる非対称な特性が賭けの判断を歪める。

10ビジネス判断への活かし方

重要なのは「何を選ぶか」だけでなく、「どう見えているか」を意識して意思決定を補正すること。①フレーミングを点検:利益表現か損失表現かで判断がぶれていないか確認する。②参照点を見直す:前年・予算・希望価格など何を基準にしているか明確にする。③損失回避を補正:損したくない気持ちだけで決めず長期的な期待値も見る。④仕組みで防ぐ:チェックリスト・複数案比較・データ確認で心理バイアスを和らげる。