
初級9
経営・マーケティング・顧客戦略
顧客ロイヤルティとLTV
編集部
ランチェスター戦略とは、弱者と強者では戦い方が根本から異なるという考えに基づき、軍事理論を経営・営業・マーケティングに応用した競争戦略です。このスライドでは2つの法則の基本・強者と弱者の考え方・弱者の基本戦略・強者の基本戦略などをわかりやすく解説していきます。
ランチェスターの法則には2種類あります。第一法則(一騎討ちの法則)は1対1型の戦いであり、戦力は兵力数にほぼ比例し接近戦・局地戦で有効です。第二法則(集中の法則)は集中攻撃型の戦いであり、戦力は兵力数の二乗に比例し広域戦で有効です。弱者は第一法則の戦場(局地戦)が有利であり、強者は第二法則の戦場(広域戦)が有利となります。
ランチェスター戦略では強者と弱者を市場シェアの大小で定義します。強者はシェア1位・資源豊富で面で押さえ広く展開し、弱者は後発・中小で資源が限定的なため点や局地で勝つ発想が必要です。自社が強者か弱者かの見極めが戦略の出発点となります。同じ業界でも分野や地域によって立場が変わるため、市場をどう区切るかが重要です。
弱者の基本戦略は「狭く深く」で勝つことです。地域・客層・商品を絞る局地戦、勝てる相手を選ぶ一騎討ち、顧客との距離を縮める接近戦、強みを1つに集める一点集中、新しい切り口で先手を取る奇襲戦が弱者の5つの基本戦略です。弱者は大市場全体ではなく、勝てる一点でNo.1を作ることが基本となります。
強者の基本戦略は「広く厚く」で勝つことです。市場全体をカバーする広域戦、複数の強みを束ねる総合戦、規模の経済・広告力を活かす遠隔戦、数で押す確率戦、弱者の差別化に同じ手で応じるミート戦略が強者の5つの基本戦略です。強者は資源量を活かして面で優位を広げ、弱者を局地戦に引き込まれないようにすることが重要です。
市場での地位によって取るべき戦略が異なります。1位企業は首位を守り再投資して差を広げることが基本で、安易に弱者の土俵へ引き込まれないことが重要です。2位企業は首位の弱い局地を狙い特定分野で勝って存在感を高めます。3位以下はニッチで小さな1位を作ることが基本で、地域・用途・業種を細かく絞ります。全員が同じ戦い方をしてはならず、立場に応じた戦略の使い分けが成否を決めます。
ランチェスター戦略では市場シェアに関する目安値が知られています。拠点目標値2.8%(市場参入の足がかり)、存在目標値6.8%(市場で存在感を示せる水準)、影響目標値10.9%(市場に影響を与え始める水準)、上位目標値19.3%(業界内上位の目安)、下限目標値26.1%(十分な収益を確保できる最低ライン)、安定目標値41.7%(安定収益と優位性を確保できる水準)、上限目標値73.9%(市場で圧倒的な強さを持つ水準)があります。シェアが高いほど経営は安定し優位性が高まり、業界差はありますが戦略目標の目安として広く使われています。
ランチェスター戦略の実務への落とし込みは5つの手順で進めます。まず強者・弱者を把握し、次に勝てる細分市場を見つけます。そして地域・客層・商品・チャネルを絞り、資源を集中投下します。最後にNo.1領域を横展開します。データで競合を観察し絞る勇気を持ち小さな成功を再現することが実践のポイントです。戦略は理論だけでなく、実行順序が大切です。
後発の在庫管理SaaSを例に考えると、大手向けに全方位で戦うのは避けるべきです。「製造業の中小企業向け」に特化し、導入支援や業界特化機能を深く作り込むことで差別化できます。あらゆる業種・規模に広くアプローチすると競合が多く差別化も難しく埋もれてしまいますが、製造業の中小企業に特化して深く価値提供することでニッチ市場でNo.1となり口コミで指名・紹介が拡大します。弱者はニッチNo.1から始めることが実践的な戦略の出発点です。
今回はランチェスター戦略についてお伝えしました。勝てる戦場を選ぶことが最重要であり、弱者は「広く薄く」ではなく「狭く深く」が基本です。強者は資源量を活かし広域で勝ち、弱者はニッチの一点で強みを作ります。勝敗は商品力だけでなく、戦場設定でも決まります。まずは自社が勝てる一点を定め、顧客価値と環境変化も忘れずに見ることが大切です。ランチェスター戦略は、限られた資源で勝つための実践的な知恵です。